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映画と食べ物の備忘録
from 2009-09-09 to 2011-07-24 (maybe)
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・かどやのやきそば (ノーマル、カレー)


 来月いっぱいで、有限会社鉤屋を正式に休業させようと思っている。現在、そのための残務処理を進めている。
 

 正式に活動休止をすると、具体的にどうなるのかというと。
 法人としての活動ができなくなる。金の出し入れが一切できなくなる、という話。もちろん販売物を売ることはできなくなるし、いま鉤屋の口座にある金は一円も使えなくなる。

 それなら、いっそ会社を清算すりゃいいじゃんと思われるかもしれないけれど。そうしない理由はものすごく単純だ。会社の口座に残っている僅かな金より、会社を清算する費用のほうが高いからだ。
 なんでわざわざ休業すんの、このまま放っておけばいいじゃんと言われるかもしれない。しかし、それだと毎年七万円の法人税を支払い続けることになる。自分の貯金から補填してでも、だ。
 そのうえ私は、来年の今頃、どこに住んでいるのか分からない。私個人が、いろんなことを一つずつ片付けていかなければならない状況になった。毎年毎年、ちゃんと書類を整えて決算の作業をし、渋谷の税務署へ行き、七万円の税金を支払うという作業が極めて困難となる可能性が高い。それも、存続をあきらめた大きな原因のひとつになっている。

 で。

 いまある商品の在庫をどうしようかと悩んでいる。
 書籍に関しては、そんなに在庫があるわけでもないし、自分の作った本として手元に置きたいという希望もある。残りは自分で独り占めしたい。手ぬぐいも、無理に売るよりは自分のものにしたい。実用的だし場所も取らないし、なにより私自身が非常に気に入っている。

 問題はDVDだ。けっこう量がある。そのうえ場所をとってる。自分が確保する予備としては数が多すぎる。正直、少しでも減らしたい。というわけで、いろいろと対策を考えてみたのだけれど。


1.値段を安くして投げ売りする
 これは、なるべくやりたくない。あんまり安くしたら、定価(あるいは会員価格)で購入してくださった方々に対して失礼だ。
 あれはもう何年も前に発売した商品だし、在庫の残った商品を値下げしていくのは当たり前のことなのかもしれないけど。「あの当時から応援してくださっていた素晴らしいお得意様」に「うわ、先に買って損した」と言わせるのは、あまりにも不本意すぎる。


2.商品の内容を派手にPRする
 これは、もっとやりたくない。たとえば「ここに出演している誰それさんは、現在、こんなに活躍をしています」とか、「この当時の出演者さんの名前はこうでしたが、いまはこの名前で大人気です」とか言って売り込もうとするのは、なんか下品に思えて仕方ない。
 もともと鉤屋は、私が気に入った表現者さんを、一人でも多くの方に紹介したいという願いがあって作った会社だった。その会社が「いま売れっ子のあの人が、こんなん出てましたよ」という切り口で商品を売るっていうのは、いくらなんでも酷い。


3.廃棄する
 これも正直、非常に悔しい。私が気に入っている、愛しちゃってる商品だからだ。


 そして鉤屋にはもうひとつ、普通の会社なら悩まなくて済むような問題がある。

 鉤屋には「有料会員」という制度があった。その会費というのは、私が活動する資金として、延べ七百人の方々が出資してくださった金なのだ。
 当たり前のことではあるけれど、当時の鉤屋が支払ってきた金には、鉤屋の会員様から頂戴した会費も含まれている。
 その会費というのは、毎回、六か月分の鉤屋の活動(PDFマガジンの購読や特典グッズなど)に対して支払っていただいたものだった。もう、その活動期間は終了している。だからと言って、いまはもう関係ないとは言い切れないような気がする。

 鉤屋が何らかの商品を作るときには、もちろん費用が発生してきた。
 たとえば必要経費が千円だった商品について、「五百円が自分の振り込んだ資本金で、三百円は会費として頂戴した金で、二百円は鉤屋の活動の売上から出した金」というような明確な区別をつけられるようなものでもない。頂戴した会費は、資本金や商品の売上と同じ口座で出入りしていたからだ。

 会社は金を儲けなければならないのだから、「売れる努力」をするのは当然のことなのだけれど。ここで「売るもの」は、会員さんからの支えもあって作っていたものだ。いまそれを使って金儲けをするのは筋違いじゃないのかと思う。このタイミングで商品の値段を下げたり、プロモーション活動をしたりすることによって金を儲けたとしても、それは「今後、鉤屋が活動を続けていくための資金」にはならない。出資してくださっていた会員さんたちの意図とは違う。

 ついでに言ってしまえば、いまさら会社の口座に金が入っても仕方ないのだ。
 もちろん、その金を休止前に使う方法はある。私の給与として現金を引き出せばいいだけだ。これまで私は、鉤屋から一円も給与を受け取っていない。だから最初で最後の給与として、それを喜んで引き出して、連日ロースカツとか死ぬほど食うっていうのは許される範囲のことなんじゃないか、などといったことも考える。
 しかし、皆様の期待にお答えできなかった人間が、そんなことしていいのかという罪悪感に苛まれなければならなくなる。

 というわけで。「予備として二本目をプレゼントするのはどうだろう」と。そんなことを考えている。
 つまり、いま「鉤屋衛生博覧会」のDVDを持っていてくださる方(ただし鉤屋の会員でいらっしゃった方限定)で、予備としてもう一本ほしいなあと思ってくださる方がいるなら、メール便の送料だけ負担していただいてプレゼントしてしまうってのはどうだろう、と。

 無茶苦茶だろうか。

----

 いっそ、素敵な王子様が現れて「有限会社鉤屋」を買い取ってくださるというのが最高にありがたい話だと思う。そこまで会社らしい処理をしてしまえば、もう「経営権が移ったんだから仕方ねーな」ということになるんじゃなかろうか。
 よほど不愉快な相手でなければ喜んで売る。もちろん私を雇ってくださっても構わない。封筒貼りでも切手貼りでもやる。それで月に三千円でもお給料なんか払ってくれたら素晴らしい。

 いまどき『有限会社』なんて、作ろうと思っても作れませんよ。社判や社名入りの封筒なんかもお付けしますよ。会社の買収なんて、そうそう簡単にできることでもありませんし。お安いですし。記念にひとつ、どうですか、お客さん。


追記:
 会員となってくださっていた大半の方にとって、「もうどーだっていいのに」「いつまで引きずってんだ」という問題なのであろうことは承知しております。「うぜー」「面倒くせー」と言われても当然だ、と考えております。
 それに対しては、先に私から返答させていただきたいと思います。

「もしも御存知でなかったようでしたら、誠に申し訳ございません。貴方様は、こういう鬱陶しい芸風の人間を応援してしまったのです。これが最後の活動です。よろしければお楽しみください」と。
 
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無題
自分は社長が大好きですので、如何様にもなさってください。絶対に大丈夫です。
「予備として二本目」も謹んでお受けいたします。いつかあのテイストをわかってくれる人に会ったら贈ろうかと思います。
おこぜ URL 2010/06/24(Thu)18:46:01 編集
Re:無題
>大好きですので
本気にしちゃうよ?

すみません。調子に乗りました。
そういうことをおっしゃってくださる方が一人でもいらっしゃったら、もうそれだけでですね、私は幸せな人間だと思うのですよ。ええ。本当に。すみません。
【2010/06/25 10:35】
無題
うわあああ、ガッツリ信じた自分がいました…。
更に購入って今でもできるんでしょうか。
二階堂 2010/06/25(Fri)09:43:36 編集
Re:無題
ああ、ごめんなさい、ごめんなさい、私の書き方が悪かったです。
来月いっぱいで閉じるのは本当です。
そうですね、紛らわしいこと書きました。ちょっと直そう。

>更に購入って今でもできるんでしょうか。

できます。できますが、そういった事情なので
もしも二階堂さまが鉤屋の会員さんだったようでしたら、あと数日お待ちになってからのほうがいいかと思います。
モノによってはプレゼントになりますので。
【2010/06/25 10:34】
買収!
いよいよおれが、すいめんかであんやくするときが来たのだな。なう。
クドリャフカ(モスクワ商事) 2010/06/25(Fri)12:19:09 編集
Re:買収!
 みすぼらしい服をきた女が、寒さにふるえながら、一生けんめい通る人によびかけていました。
「有限会社はいかが。有限会社はいかがですか。だれか、有限会社を買ってください」
 でも、だれも立ち止まってくれません。

 会社が売れないまま家に帰っても、イタチはけっして家に入れてくれません。
 それどころか、
「この、やくたたずめ!」
 と、ひどく噛まれるのです。

「あっ、犬のお兄さん、有限会社はいかがですか」
【2010/06/26 14:15】
DVD
宅急便の着払いでも大丈夫ですよ!
あとですね
『コキール男爵』ってまだ在庫はおありでしょうか?
nabizo 2010/06/26(Sat)18:51:08 編集
Re:DVD
>宅急便の着払いでも大丈夫ですよ!

いやいや、それはさすがに送料がもったいないです。はい。

>『コキール男爵』ってまだ在庫はおありでしょうか?

ちょっとだけあります。
えーと、いまならまだ買えます。ゆうちょ銀行とか、イーバンクとか、表記は古いのですが、普通に買えたりします。
これだと不安ですやね。すみません、ちょっと直しますので、もう少々お待ちくださいまし。
【2010/06/26 23:56】
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自己紹介:鉤屋のそねです。ごく稀に、グレコローマンかたぎのそねと呼ばれることもあります。
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