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映画と食べ物の備忘録
from 2009-09-09 to 2011-07-24 (maybe)
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The Seventh Voyage of Sinbad/Ray Harryhausen
1958年・アメリカ

びっくりするほど面白かったけど。ひたすら自分のコンプレックスに気づかされる映画でもあったなあと。
【初見/ケーブル/★★★★☆】

 私には、いくつか「モノ知らずが安直に誉めてはいけないのだろうな」と思っているものがある。

 たとえばプロレスだ。

 以前、私のお付き合いしていた男性が、初代タイガーマスクの熱狂的なファンだった。
 彼は「雌ごときにプロレスが分かるか」などといった差別的なことは決して言わない人だった。そして、心から初代タイガーマスク(佐山聡ではない)を愛しているが故に、私にも彼の素晴らしさを理解してほしいと考えてくれる人だった。
 だから私は、彼の自宅で、いくつもの試合の映像を観させていただいた。佐山式のタイガー・スープレックスなどについても彼の解説は念入りだった。
 それらの映像は、とても興奮させられるものだった。たとえ解説がなかったとしても、素直に楽しめるものだったと思う。面白かったし、美しかったし、サーカスを観ているようなわくわくもあった。

 だけど、素人はあんまり誉めちゃいけないんだろう。そう思った。だから、あまり感激したような様子は見せないように気をつけていた。
 私は、プロレスの歴史も、マスクマンの歴史も知らない、団体ごとの人物相関図も全く描けていない。そんな人間が、生意気なことを言ってはいけないのだろう。ただ黙って「なんか凄い」と言うぐらいで止めておくべきだ。知ったような口をきくのは御法度だ。プロレスファンの人を不愉快にしたくない。そう思った。なぜ、そこまで思ったのかは説明できない。

 ちょうどその頃、私は学生プロレスも見たりしてた。素直に、ただ素直に面白かった。笑っていいところは笑っていいのだと思った。ただ、「どの技が決まったときに『おー』と言うのか」は、すごく難しいのだろうなと感じていた。ろくに分かってない客が変な声援を送ってる、とレスラーさんに分かってしまったら、やる気を削いでしまうかもしれないじゃないか。そんなことも思った。

 たぶんそれは、いま私が、動物番組に出てくるアンタッチャブルの柴田に対して抱いているイライラを比喩として用いたら説明できるかもしれない。
 でも、ちょっと大変な文章量になりそうだから、いまは止めておこう。

 こういうのは、プロレスだけじゃない。たとえばSFもそうだ。テクノもそうだ。たぶん、自分なんかがヘタに誉めてしまうと、ホンモノの方々が気を悪くするんじゃないかと。そう思わされるものは幾つもある。
 単に謙虚なのかというと、そういうことではない。大して知りもしないのに、ただの印象だけで、なんとでも言えてしまうジャンルのものだってある。
 私には、ファンの人を不愉快にしたくないと思うものと、そうでもないものの両方があるのだ。


 つまり、なにが言いたいのかというと。
 ハリーハウゼンって、まだ生きてたの? ということすら知らなかった人間が、この映画を褒めちぎる資格はないような気がするなあと。そう思った。なんていうのか、分からないやつが分からないなりに嗅ぎ取る、プロレスに近い神聖な空気みたいなものを感じたのだ。
 それでも面白かった。すごく面白かった。観てる間、ずっと口あけっぱなしで「すげえ」「すげえ」「面白え」って、それしか言えなかったんだ。

 いろいろ悩んだ挙句、よく分からない遠慮で ☆ひとつ分だけマイナスさせていただいた。
 
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