LOFT／Erik Van Looy
2008年・ベルギー

　数週間前に公式サイトを見たときは、シアター情報にシネマアンジェリカの名前しか出てなかったんだ。
　「ベルギー映画なんか札幌に来ないだろうし、DVDで観られるかどうかも怪しいよな」と思って、もし東京に行けたら観ようと決めてたんだ。だから観たんだ。
　いま公式サイト見たら、あっさり一月から札幌マリオンシネマで上映だって。おばちゃんがっかりだ。

・「ベルギー国民の10人に一人が観る映画ってどんな感じなんだ」ということで、とても気になっていた。
・そうか。これを10人に一人が観たのか。
・でも子供は観られないだろうから、要するに、すごい数の大人が観たってことだよな。
・そんなに面白いだろうか。

・これは、あれだ。延べ人数だ。
・ちょっと面倒くさいサスペンスだから、あまり記憶力のない人が二回も三回も観たんだ。きっと。
・じゃあ、ベルギーの映画料金って、すげえ安いんじゃないの。と思って調べてみた。
・€6.00だった。ちなみに今日のレートは1ユーロ130円。そうか。想像してたより少しだけ高かった。780円×3回＝2340円もかけて観る映画だとも思えない。じゃあ、やっぱり結構な人数が観たんだろうか。

・さて、シネマアンジェリカの来場者は、内訳が不思議だった。
・カップル一組・三十～四十代ぐらいの男の人が二人（それぞれ一人で来場）・三十代の女一人（私）・そして残りの十一人は全員が爺さんという不思議な空間。
・これはもしかして、年寄りのツボに嵌るようなエロシーンがあるとかいうことで、なんらかのコミュニティで話題になってたりする映画なんだろうか、と。ちょっと不安になった。
・受付の様子をそれとなく偵察しに行った。要するに、みんなシニア割引（60歳以上）なのだな、と納得した。
・静かな映画を流すことの多い劇場だから、定年退職後に通ってる爺さんがけっこういるのだろう。ちょっと素敵な老後かもしれない。
・なにしろ、劇場に辿り着くまでの坂がすごい。あれも年寄りにはいい運動だと思う。映画のために、たった一人であの急激な坂を登る爺さんたちって格好いい。
・でも、そのうち死人が出るんじゃないかって気もする。これが雪国だったら確実に死んでる。

・で、映画がどうだったのかというと。
・「客をびっくりさせようとしすぎて、かえって薄くなっちゃったサスペンス」だと思ったのだけれど、それは私個人の感想なので、面白い人には面白いんだろう。
・なにしろ10人に一人なんだから。

・ただ、「じゃあ、なんであのとき」「あの件はどう考えたらいいんだ」「そもそもの問題として、あれは何故なんだ」という要素がいっぱい残ってしまって爽快感が無かった。
・ちゃんと回収してほしいなあと。
・でも、それは私の頭が悪くて気づいてない部分があるのかもしれない。
・なにしろ10人に一人なんだから。

・エンディングロール画面を観ながら、なんか、このガッカリ感って味わったことあるなと思った。
・確か新しいシリーズのコロンボで。
・そうだ「新・刑事コロンボ　だまされたコロンボ」だ。いや、ぜんぜん話は似てないんだけど。
・ガッカリ感の種類だけが似てるんだ。
・あのコロンボは酷かったよなあと私は思うんだけど
・あれはあれでいいんだよ。という人もいる。本当に人それぞれだ。
・だから、「ロフト」も名作なのかもしれない。
・なにしろ10人に一人なんだから。